内部統制を徹底しよう!企業における内部統制について徹底解説!

内部統制

企業が継続的な運営を行うにあたり、内部統制とは非常に重要な項目となっています。また、内部統制が適切に行われることで企業としての価値は向上し、事業規模についても拡大することが期待されているのです。本記事では、企業における内部統制の重要性について詳しく解説します。

内部統制とは

内部統制とは、企業が事業活動を健全に推進して効率的に運営するために必要不可欠とされている仕組みです。なお、金融庁が公表している「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」では次のように定義づけされています。

内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。

内部統制の義務化について

内部統制は、法律では会社法および金融商取引法で次の企業において義務付けられています。

・有価証券報告書の提出が必要な上場企業
・資本金5億円以上または負債額200億円以上の大企業

なお、上述した企業以外では、企業ごとに判断して内部統制を構築および運用することとなっています。内部統制を実施しないことによる罰則規定はありませんが、企業が内部統制を実施することで享受できるメリットは非常に大きく、企業の発展にも貢献することが期待されています。そのため、法律上で義務付けられていない企業についても内部統制を積極的に構築すべきであると言えるでしょう。

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企業における内部統制の重要性について

企業における内部統制が重要であるとされている理由は、次のとおりです。

・経営者の監視負担を軽減できる
・社会に対して透明性をアピールできる
・企業価値を向上できる

企業ごとに重要ポイントに差異はありますが、ここからは具体的なメリットについて詳しく解説します。

1.経営者の監視負担を軽減できる


企業で内部統制を実施することで、経営者が社員を監視する負担を軽減することができます。企業の監視者として一般的なのは経営者自身となっていますが、企業内において内部統制を行う部署を確立することで経営者の監視負担を軽減させることができます。

2.社会に対して透明性をアピールできる

内部統制を採用している企業は、、社会に対して透明性をアピールできます。透明性とは、企業内で行っている業務の動きが明確になっていることです。客観的に企業を見たときに、社内の人間だけが分かるような業務の動きになっているのではなく、第三者が企業を見たときにもしっかりと業務の動きが分かるようになっていることが重要なのです。
そうすることで、企業がクリーンな経営をしていることを積極的にアピールすることができるでしょう。また、取引先によっては品質・価格・納期の要素に加えて、内部統制が適切に構築できているのかを確認するところもあるでしょう。そういった取引先に対しても、企業がクリーンな経営をしていることを積極的にアピールすることができます。

3.企業価値を向上できる

内部統制を実施していることで、企業価値を向上することができます。取引先との良好な関係性を維持するための内部統制との側面もありますが、自社の企業運営を改善して事業拡大するための内部統制との側面もあるため、これらの内容を総合的に勘案すると企業価値が向上していることに繋がります。

内部統制とコンプライアンスの違いについて

内部統制と似た言葉として、コンプライアンスがあります。コンプライアンスとは、全ての社員が遵守すべき決まりのことであり法令遵守のことです。なお、コンプライアンスには倫理規範および就業規則まで包含されていますが、厳密には内部統制と同義ではありません。

企業における内部統制のプロセスについて

1.評価範囲の選定


記儀容における内部統制のプロセスは、評価範囲を選定するところから始まります。
選定にあたっては、直近の期末決算における実績値および次年度の予測値に基づき、次の項目を分析します。

・各拠点および各勘定科目の量的(金額的)な重要性
・各拠点および各勘定科目の質的(項目的)な重要性

評価範囲の選定においては、拠点であれば対象をグループ全体の売上高で95%に入らない箇所を除外します。
また、質的な重要性も考慮して検討して評価範囲を決定します。
勘定科目では、売上・売掛金・棚卸資産の3種類を考慮して検討します。
企業によっては、見積りおよび非定型取引などを含める場合もありますが、評価範囲の選定は次のフローで行います。

・重要性の低い拠点を除外
・重要な拠点を選定
・重要な勘定科目の範囲を策定
・個別評価科目を追加して選定

2.整備状況の把握


整備状況の評価とは、内部統制に関する規程・手順書・体制などを構築することです。
内部統制が企業内において構築されていないケースでは、これらを作成しましょう。
調査段階において、どの程度内部統制が構築されているのかを評価するフェーズであるとご認識ください。
評価方法としては、文章においてリスクを低減できているかを確認します。
また、実際に統制活動が行われているかどうかを取引開始から財務諸表への記載に至るまでの過程において帳票上で追跡してチェックします。
他の手法としては、社員へヒアリングを行うことや観察することなどが挙げられます。

3.運用状況の評価

運用状況の評価とは、内部統制に関する承認・決裁・チェックなどの運用が文章に定めたとおり行われているかどうかを評価するフェーズです。また、必要に応じて内部統制が適用されているかどうかも併せてチェックします。代表的な評価方法としては、サンプリングテストが一般的です。内部統制において特に重要と判断された箇所をサンプルとして適用して、総合的に評価を下します。監査法人に依頼することも可能ですが、経営者が実施しなければならないケースもあります。具体的には監査法人と協議し、サンプル件数・抽出方法・サンプリング方法を決定します。

4.決算および財務報告プロセスの評価

決算および財務報告プロセスとは、経理部門がメインとなって担当している決算業務において不正などがないかを確認することです。これは、決算統制とも称されており、具体的な評価範囲は次のとおりです。

全社的な観点
・総勘定元帳から個別財務諸表を作成する時
・連結財務諸表の作成時
・財務諸表に関する開示資料作成時

個別の観点
・リスクの大きな取引に関係するプロセス
・見積り・経営者による予測が絡む重要な勘定科目に関係するプロセス
・虚偽記載が発生するリスクが高いプロセス

5.不備の検討

内部統制の評価において不備が発覚した場合においては、発覚した不備が整備上のものなのか運用上のものなのかを判断して対処する必要があります。不備が発生したことを鑑みると、内部統制そのものに問題があると言えます。そのような状態で放置してしまうと内部統制そのものが破綻してしまうリスクがあるため、迅速に対応する必要があります。

まとめ

ここまで、企業における内部統制の重要性について詳しく解説しました。企業において内部統制を適切に行うことで、企業の透明性が確保されて企業の成長にも繋がります。
また、内部統制は一度構築したら終わりというわけではなく、適宜運用状況などを評価して必要に応じて改善する必要があることを忘れてはいけません。本記事が、企業においての内部統制の重要性を再認識するための一助となれば幸いです。