事業拡大に必須となるコンプライアンス管理の重要性とは

昨今では、企業においてコンプライアンスを遵守することが極めて重要であるとされています。どれだけ業績が良かったとしても、コンプライアンスが遵守されていなければ企業として社会的に信用されることはないと言えるでしょう。そのため、企業はコンプライアンスの意味を適切に把握しなければならないのです。

本記事では、企業におけるコンプライアンスの重要性について解説します。

コンプライアンスの定義とは

コンプライアンスとは、日本国内において定められている憲法・法令・条例などを適切に遵守することが第一義であるとされています。

なお、それだけに留まらず社会的な良識およびルールに則って事業運営することが求められています。日本政府が定めている憲法・法令・条例などを遵守することは当然として、企業において制定されている就業規則および社内規程なども同様に遵守し、企業倫理や社会的規範に沿った活動などを行うこともコンプライアンスの定義に包含されているのです。

昨今の日本では、コンプライアンス意識が高い企業こそが求められていると言えるでしょう。

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日本におけるコンプライアンスの変遷について

一昔前では、日本においてそれほどコンプライアンスは重視されていませんでした。

しかし、1990年代に入ってから大手メーカーや食品メーカーなどのさまざまな不祥事が明るみに出たことから、日本においてコンプライアンスが重要視されるようになったのです。2000年代に入ってからは、企業におけるコンプライアンスの重要視は更に顕著となった経過があります。

ここからは、企業においてコンプライアンスが重要視されることとなった、要因について詳しく解説します

規制緩和

日本国内において、1970年代に発生した日米貿易摩擦を契機として1980年代以降は内需主導を中心として急激な経済成長が成されて来ました。

電電公社・専売公社・国鉄の民営化を初めとして規制を撤廃することで、国営手動であった領域に民間企業が参入できる形を形成して競争の促進を促したのです。民間企業による柔軟な事業展開が可能となりましたが、企業が負うべき責任も大きくなったことから事業を展開するうえで責任が問われることとなりました。

2000年代に突入すると日本政府は行政改革大綱が策定され、企業の自己責任体制が明確化されたのです。

不祥事

企業におけるコンプライアンスが重要視されるようになった背景には、これまでに不祥事が相次いだためです。なお、大きな不祥事を抜粋すると次のとおりです。

・2000年および2004年の三菱自動車リコール隠し

・2002年の牛肉偽装事件

・2005年の構造計算書偽装事件

・2006年のライブドア事件など

上述したような大きな不祥事が発覚したことで、世間が企業に対して疑心の目を向ける機会が多くなったことから、企業がコンプライアンスを遵守する必要性が加速したと言えるでしょう。

法改正

2000年12月に閣議決定されている行政改革大綱を主軸として、各種法令についても改正が行われています。

具体的な法改正としては、2006年5月に会社法が改正されており、資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の企業は、適正な業務の遂行を確保するための体制の構築が義務付けられました。また、2006年4月に公益通報者保護法が施行され、企業の内部から不正を告発した人物に対して解雇などさまざまな不利益な扱いがされないよう企業に強く求めているのです。

さまざまな法改正も連動することで、企業がコンプライアンスを遵守しなければならない社会形成が構築されることとなりました。

コンプライアンスと法令遵守の違いについて

コンプライアンスと法令遵守には、明確な違いがあります。

結論的には、コンプライアンスと法令遵守では違反した場合の結末が違うということです。法令遵守を違反した場合は、法的措置を伴う制裁が発生します。事例を挙げると、刑事訴追・罰金・課徴金・民事上の損害賠償などです。一方、コンプライアンスを違反した場合は、法的措置は伴わないこととなります。

しかし、法的措置が伴わないからと言って企業が受けるダメージが軽いというわけではありません。企業に与える最も大きなダメージとしては、社会的評判による毀損および低下です。企業にとって、世間一般で認識されているブランドイメージとは非常に大切なものであり企業の命運を司っていると言っても過言ではないでしょう。そのため、不祥事などのコンプライアンス違反によって企業のブランドイメージが毀損および低下してしまうと、新たに良いイメージを構築するのは非常に困難となっています。

このように、コンプライアンスと法令遵守では法的措置の有無に違いがありますが、企業に大きなダメージを与えると言う点において、違いはないと言えるでしょう。

コンプライアンスとガバナンスの違いについて

コンプライアンスとは、企業全体を健全化する効果が期待できます。

一方、コーポレートガバナンスとは経営者自身を監視および監督する制度となっています。昨今では、個人情報漏えい・パワハラ・セクハラなどもコンプライアンスに包含されていますが、経営者自身を監視および監督しなければ、企業全体のコンプライアンス遵守は成立しないと言えます。

そのため、コンプライアンスを達成するための前段階として、コーポレートガバナンスが必要であると位置づけられているのです。

※「コンプライアンス」と「ガバナンス」の関係について詳しく解説しております。

企業がコンプライアンスを遵守する重要性について

企業がコンプライアンスを遵守する最も大きな理由とは、企業が社会から信用を獲得して企業価値を維持することが挙げられます。

企業には、一義的に社会的責任を果たすことが期待されています。

そのためには、各種法令・就業規則・企業倫理などのコンプライアンス遵守が前提となっており、さまざまな企業がコンプライアンスを遵守することに重きを置いています。企業が一義的に社会的責任を果たすためには、自社利益のみを追い求めていては達成することができません。自社が展開している事業が社会的にどのような影響を与えるのかについて深く考え、さまざまな利害関係者からの要求に適切に対応できるようにすることが強く求められているのです。コンプライアンス遵守が適切に行われている企業とは、社会から信用を獲得できていることから企業価値が維持されています。

そのため、顧客および取引先が他企業へと離脱することを未然に防止することに繋がりますので、結果的には社会貢献をしながら自社の成長が期待できるのです。

コンプライアンス違反の具体的事例について

コンプライアンス違反とは、さまざまな事例があります。

ここからは、代表的なコンプライアンス違反の事例について詳しく解説します。

情報の持ち出し

企業では、顧客の個人情報から部外秘である秘匿性の高い情報まで幅広く扱っています。

オフィスなどで仕事をしていると、業務時間中に仕事が片付かなかったことから自宅にて続きの仕事を行うということも珍しくありません。その際、自宅で仕事をするためにはデータを持ち出さなければなりませんが、データが格納されているUSBメモリなどを外出先で紛失してしまうことがあります。それらの事象によって、数万件にもおよぶ個人情報が流出してしまったなどの報道発表もあるのです。

情報の流出は確実にコンプライアンス違反に該当するため、問題が発生した企業は責任を負わなければなりません。

ハラスメント

ハラスメントには、パワーハラスメント・マタニティハラスメント・リストラハラスメント・モラルハラスメント・セクシャルハラスメント・ジェンダーハラスメント・セカンドハラスメント・アルコールハラスメント・パーソナルハラスメント・コミュニケーションハラスメント・レイシャルハラスメントなどが挙げられます。これらのハラスメントが発生すると、被害に遭った人物は心身に不調をきたすことから業務執行能力の低下や出社拒否などに繋がります。また、昨今の報道発表でもあるように、ハラスメントを理由として被害に遭った人物が命を絶ってしまうことすらあるのです。

ハラスメントでは、加害者意識がなく行動をしているケースもありますので、企業において適切に研修などを実施して、企業内において1人1人がハラスメントに対する正しい認識を持つことが重要です。

まとめ

ここまで、企業におけるコンプライアンスの重要性について解説しました。

企業に求められているコンプライアンス遵守の重要性は、これからも高まっていくことが想定されます。憲法・法令・条例などを適切に遵守することは当然として、社会的な良識およびルールに則って事業運営することが求められています。コンプライアンスを遵守することで、社会から信用を獲得できていることから適切に企業価値が維持しますので、企業が発展するためにも必要不可欠であると言えるでしょう。

本記事が、コンプライアンスを重要視する企業にとって一助となれば幸いです。