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KYCとは

  • KYCコラム

KYCは「Know Your Customer」の略語

「言葉の通り相手が何者かを知ること」

狭義の意味

顧客本人・契約主体との同一性の確認行為そのものを指す

広義の意味

顧客本人や契約主体の属性等を調べ、取引の健全性を確認するコンプライアンス視点における業務フローの健全性を担保する行為(属性確認・反社チェックともいう)

  • 企業のコンプライアンスを重視する社会的風潮と行政の強い指導もあり、かつ現在ではAML(Anti-Money Laundering)の観点から、反社会的勢力の排除や経済行為の健全性を担保するため、広義の意味で使用される。行政の目線から「市場の健全性」は企業へのマストな要求事項となった。
  • FATF(金融活動作業部会)をはじめ国際協調の観点から国内でも様々な法整備がされ、事業者はこれら規制を効率的かつ効果的にクリアすることが企業価値をはかる大きな指標の一つとなっている。

特定事業者が実施しなければならないAML/CFT対策の措置

犯罪収益移転防止法に基づき特定事業者が講じなければならない措置

措置

FATFが勧告するCDD(Customer Due Diligence:属性確認)に用いられる情報は、「Reliable, independent source documents, data or information」であるものと定義されており、ニュースメディアの記事のみを基にKYCを実施する場合、顧客照合において要求基準を満たしていない可能性が高いと考えられます。

犯罪収益移転防止法と具体的な実施義務内容

第四条
取引時確認等
本人確認書類の確認による本人特定
反社会的勢力、犯罪行為、風評、PEPsの確認による属性確認
第六条
確認記録の作成義務等
取引時確認等を実施したことの記録を作成し7年間保持
第七条
取引記録等の作成義務等
特定取引における取引時確認等を実施をしたことの記録を作成し7年間保持
第八条
疑わしい取引の届出等
特特定取引においてAML/CFTの対象となる疑いのある取引の監督省庁への報告
第十一条
取引時確認等を的確に行うための措置
取引時確認等の措置に係る使用人の教育、規定作成、責任者の選任

事業者に対する罰則

犯罪収益移転防止法の定める特定事業者を対象とした違反者への罰則

犯罪収益移転防止法の適用対象外の非特定事業者は暴対法、暴排条例にて事業者の暴力団への利益供与防止措置の努力義務が定められており、組織犯罪処罰法と併せて知情性が罰則適用の判断基準となります。
非特定事業者に対する罰則は全て両罰規定が適用されるため使用人による法令違反も処罰対象となります。

法律/条令対象事業者区分け行政措置行政罰刑事罰両罰規定知情規定
犯罪収益移転防止法特定事業者
暴対法全事業社
暴排条例特定営業者/全事業者
組織的犯罪処罰法全事業者

非特定事業者がKYC(コンプライアンスチェック)を実施すべき理由

レピュテーションリスク顕在化による事業活動全般に損失を回避

特定事業者は犯罪収益移転防止法に基づきKYC実施義務及び罰則規定があるため実施必須です。
一方で非特定事業者は暴対法、都道府県暴排条例に基づきKYC実施の努力義務があり、場合によっては行政措置の対象となり企業のレピュテーションリスクが顕在化することで、事業活動全般に損失が発生します。
そのため、非特定事業者であっても行政措置の対象とならないためにまた、万が一の際に自社を防衛するためにもKYCを実施すべきです。

非特定事業者がKYC(コンプライアンスチェック)を実施せずに反社会的勢力への利益供与が明るみになった場合に発生する損失

  • 売上の減少
  • 採用活動への悪影響
  • 既存取引の停止
    新規取引の拒絶
  • 株価の下落

非特定事業者が実施すべきKYC業務(コンプライアンスチェック)

確認記録の作成義務等は万が一の事態を想定して実施すべき

非特定事業者が自社の事業リスク低減及びコンプライアンス遵守のために行うべきAML/CFT対策におけるKYC業務は、犯罪収益移転防止法暴対法及び暴排条例が対応している「取引時確認等(第四条)」並びに「取引時確認等を的確に行うための措置(第十一条)」です。
法令への対応として上記で十分性は担保されますが、「確認記録の作成義務等(第六条)」はKYC実施の証跡となるため、万が一の事態を想定して実施しておいた方が良い取り組みとなります。