【KYC コラム】「リスク情報収集AI技術」解体新書#3

~KYCコンサルティングのコア・コンピタンス(競争優位の源泉)~

#3 情報処理学会第85回全国大会にて学生奨励賞を受賞した百々優志郎氏インタビュー

目次

・株式会社マヨラボに関わるまでの経歴

・どんな経緯でマヨラボに関わるようになったのか

・マヨラボにおける業務と役割

・共同開発実現までの道のり

・困難をどのようにして乗り越えたのか

・情報処理学会における学生奨励賞受賞に対する思い

・マヨラボの将来展望と自身の今後について

株式会社マヨラボに関わるまでの経歴

 私は徳島県の出身です。高校の進路を検討する時から情報の分野に関心があり、同県の阿南工業高等専門学校・創造技術工学科情報コース(以下、高専)への進学を希望し進みました。情報学やインターネット、IT関連について学びながら、対外活動にも積極的に取り組み、プログラミングコンテストなどにも参加しました。

 高専を卒業後は、長岡技術科学大学(新潟県)の工学部・情報経営システム工学に進学しました。同大学の3年時に編入を行い、現在は、長岡技術科学大学大学院の工学専攻の情報経営システム分野の2年生です。

 同大学は、高専生の受け入れ体制が整っており、修士課程に進む学生も多くいます。また、学生ベンチャーの立ち上げも複数行われています。意欲的な学生ベンチャー立ち上げの背景には、大学や長岡市から積極的な支援があることも大きな要因の一つです。私は、高専時代から情報分野の学びを深めながらも、経営についても関心がありました。

 研究内容や研究室を検討する中で、愛知工業大学経営学部経営学科 野中尋史 准教授(当時、長岡技術科学大学に所属)と出会い、主催される「知識マイニング研究室」を知りました。私が、「経営につながる研究室を希望している」ことを相談したところ、同研究室は「研究と経営を掛け合わせた取り組みを視野に入れている」と答えが返ってきました。

 当時はコロナ禍のため、学生同士のつながりが全くない状況下に、同研究室の先輩たちが、率先して縦や横のつながりが築けるよう働きかけてくれました。そのようなことから、同研究室に大変魅力を感じ入室を決めました。

どんな経緯でマヨラボに関わるようになったのか

 入室直後から、プログラミングの基礎力を上げるため課題を解き進めながら、知識を積み上げました。その次の段階で、自分が取り組む研究について、検討します。私は、 プログラミングに加えて、経営や社会学にもつながる研究を希望していました。同じタイミングで、大学発のベンチャー立ち上げやKYCコンサルティングさんとの共同開発の話があることを知り、詳細を聞く中で、自分の関心や学びたい分野・研究が合致しました。

 そこで、2021年、株式会社マヨラボ(本社:新潟県長岡市、代表取締役:片岡翔太郎、以下「マヨラボ」)のインターンとして、KYCコンサルティングさんとの共同開発に加わりました。

マヨラボにおける業務と役割

 私は同開発において、ニュース記事から犯罪内容のみを抽出する研究を担いました。その分野で、 実際に抽出を行うプログラムやロジック(プログラム処理の内容や手順)を作成して、実行します。作成・実行を行った段階から、より精度を上げるため、その方法を繰り返し検討し、実行を重ねます。機械に言語を的確に読解させ、いかに的確な抽出ができるか、その精度を高めることに注力しました。

共同開発実現までの道のり

 私は、企業側のニーズと研究室が持つ能力と技術を合致させて、新しいものを生み出すことが共同開発だと考えています。KYCコンサルティングさんとの共同開発において、私たち学生の強みである研究力を生かして、企業の望むテーマに沿った内容を研究成果として形にし、社会実装のための精度を高めたいとの思いで開発に携わりました。

 野中准教授やマヨラボ代表の片岡さんたちと共に開発に取り組む過程で、困難だった点が二つあります。一つは、先人がいないためゼロからイチを創り出すことの大変さを実感しました。もう一つは、これまで携わったことのない分野である、自然言語処理や機械学習に関しての知識と理解を深めながら、同時に研究を進める困難さでした。

困難をどのようにして乗り越えたのか

 自然言語処理や機械学習について、同研究室の先輩にゼミ(演習)を開いてもらったり、本から知識を得て実際に動かしたり、手探りで地道な試行錯誤を繰り返しながら進めました。2年間の研究期間の中には、研究に行き詰ったり、壁にぶつかって先が見えなくなったりすることもありました。そのような時は、野中准教授や先輩たちの的確なアドバイスを頼りに、乗り越えてきました。

 同時期に、同大学の学園祭(学祭)実行委員を担い、電子化によって学祭の効率化を図る活動を行っていました。学祭の資金管理を容易にするアプリケーションを開発したり、実行委員や各担当と連携した対策を練り、実行したりと研究から離れた時間を充実させることで気持ちと頭を切り替え、研究に対するひらめきも得ていたように感じます。これらの支えがあってこそ、結果が出るまで継続して研究に打ち込めました。

情報処理学会における学生奨励賞受賞に対する思い

 情報処理学会の第85回全国大会は、電気通信大学においてハイブリッド開催で行われました。学生奨励賞は、学生セッションで発表された学生会員の中から優秀な論文、発表に対して各学生セッションから2人(該当無しの場合もあり)贈呈されます。私は、自然言語処理(応用)のセッションにおいて受賞しました。発表内容は、実社会における危機管理の課題を開発の背景として、犯罪内容をニュース記事からどのような方法で抽出するのか、抽出結果の精度や今後の課題と取り組みなどです。

 発表当日は、KYCコンサルティングさんの飛内さん(代表取締役)たちも聴講に訪れ、「自社の開発への思いが発表を通して伝えてもらえて良かった」と評価を得ることができました。その言葉から、研究を通して企業へ貢献できたのだと誇らしく思いました。

マヨラボの将来展望と自身の今後について

 現在マヨラボには、約10人が所属しています。今後の活動は、KYCコンサルティングさんと継続した研究・開発を進めるほか、特許関連においても注力していきます。特許に関しては、人の動きを分析し効率化を図る動作分析を展開し、工場などでの活用を目指しています。

 私自身は卒業後、アプリケーション関連の事業に携わっていきます。大学で学祭実行委員の経験を通じて、チームとして同じ目的に向かう一体感や、目的を成し遂げることに大きなやりがいを感じ就職先を検討しました。共同開発で培った、企業が求めるニーズへの対応力や根気のいる地道な取り組みを成し遂げた経験を糧に、研究や開発を通して社会に貢献していきたいです。