コーポレートガバナンスの重要性とは?

企業の社会的信頼度を安定させる大切な要件として、誠実さが求められていると言えるのではないでしょうか。これまで、さまざまな企業において不正の隠蔽が発覚したことをきっかけとして、社会的な信頼度を失墜させた企業は非常に多くなっています。そのため、企業としての自浄作用を高める効果も期待できるコーポレートガバナンスの重要度は極めて高いと言えるでしょう。

本記事では、企業におけるコーポレートガバナンスの重要性について解説します。

コーポレートガバナンスについて

ガバナンスとは、英語では「governance」と表記します。ガバナンスの本来の意味は統治を表しており、企業においてのコーポレートガバナンスは、統治を含めた支配および管理の3要素で構成されています。コーポレートガバナンスが持っている定義としては、健全な企業経営を行うために自社における管理体制を構築し運用することです。

日本では、2000年に発覚した三菱のリコール隠ぺいが大きな注目を集めました。その後、特に大企業における不祥事が多発して社会問題に発展したことも記憶に新しいのではないでしょうか。企業が事業経営を行うにあたって、企業全体および経営者の不正および個人情報などの各種情報漏洩といったリスクを未然に防止することを目的として、企業が展開しているサービスをユーザーに対して安全性を高めてうえで利用してもらうための行動であるコーポレートガバナンスは、企業にとって極めて重要な項目であると言えます。

コーポレートガバナンスの必要性について

2000年以降において、特に大企業によるさまざまな不祥事の隠ぺいが公となったことに伴い、企業がユーザーに対して提供しているサービスの利用者意識は大きく変化しました。これまでは「大企業だから安心」といった妄信的な安心感がありました。しかし、大企業の不祥事を目の当たりにしたユーザーは大企業だからという安心感を持つことはできず、実際に自分たちがさまざまなサービスを利用しても問題ないかを確認しなければならないといった思想に変化しているのです。
ユーザーがサービスを継続利用する理由は、大企業のネームバリューにこだわっているのではなく、どこの企業であったとしても安心して利用できることが重要であると考えているのです。

企業がコーポレートガバナンスを実施する本質は、サービスを利用してくれているユーザーに対して企業経営が透明性を確保できていることを見てもらうことや、不正などを行うことなく誠実にサービス提供している企業の姿勢を見てもらうことで、安心感を持ってもらうことなのです。コーポレートガバナンスとは、ユーザーにとっても企業にとってもwinwinの関係性を構築してくれるものであると言えるでしょう。

コーポレートガバナンスコードとは

コーポレートガバナンスは、企業経営の透明性確保の観点からたくさんの企業が採用しています。金融庁や東京証券取引所などの上場企業では、コーポレートガバナンスを設定するにあたって参考としているガイドラインである「コーポレートガバナンス・コード」を公表しています。コーポレートガバナンス・コードとは、企業が取引先および社員などの企業経営を行うにあたって直接的または間接的に影響を受ける利害関係者である立場を考慮し、透明性が確保された適切な意思決定を行うための仕組みを構築することを指しています。

英語表記ではCorporate Governanceと表し、頭文字から「CGコード」と称される場合もあります。
なお、コーポレートガバナンス・コードの原則は次の5つです。

1.株主の権利および平等性の確保
2.株主以外の企業経営を行うにあたって直接的または間接的に影響を受ける利害関係者との適切な協働
3.適切な情報開示および透明性確保
4.取締役会等の責務
5.株主との対話

上述した内容は、2022年に再編された東京証券取引所であるプライム・スタンダード・グロースの3市場において適用されています。
なお、プライム市場に関しては取締役会の独立性および諮問委員会設置の義務化など、さらに水準が厳しいものとなっています。

コーポレートガバナンスと類似用語の違いについて

コーポレートガバナンスとの内容は上述したとおりですが、世の中には類似した言葉が存在しており、その違いを正しく認識しなければなりません。
ここからは、コーポレートガバナンスと類似用語の違いについて詳しく解説します。

コンプライアンス

コンプライアンスは、広義としては法令遵守を指しています。なお、ビジネスシーンにおいては法令遵守だけに限定されず、社内規範および社会規範の遵守も含まれています。コーポレートガバナンスの定義としては、法令遵守を内包した企業統制体制を構築することですので、コンプライアンスはコーポレートガバナンスという大きな枠組みの中に組み込まれているとご認識ください。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、企業本体や企業経営に対して大きな懸案やリクスが訪れた際、さまざまな問題を解決および回避したり企業への損害を最小限に留める準備および措置を指しています。コーポレートガバナンスでは、企業統制を行う過程においてリスク回避に関する対策を講じるため、リスクマネジメントはコーポレートガバナンスという大きな枠組みの中に組み込まれているとご認識ください。

コンプライアンスチェックツール「Risk Analyze」https://www.kycc.co.jp/lp/

ガバメントとの違い

ガバメントは、主として国および地方自治体などの公共団体による大きな枠組みの統制を指しているため、正確には企業独自の考え方であるコーポレートガバメントは含まれていません。コーポレートガバナンスとは、自分たちの企業を対象とした限定的な統制であるのに対して、ガバメントは国や地方自治体単位などの大きな枠組みでの統制となっています。

コーポレートガバナンスのメリットについて

企業がコーポレートガバナンスを強化することで、内部的および外部的なメリットが存在します。
ここからは、企業におけるコーポレートガバナンスのメリットについて解説していきます。労働環境改善

内部的なメリットに該当するのが、労働環境の改善です。企業では、雇用者と労働者に大きく分類することができ、雇用者責任として社員の適切な労働環境の整備をすることが義務づけられています。コーポレートガバナンスを整備することで、企業がユーザーに対して提供しているサービスの維持継続を目的とした適切な労働環境の整備が期待できます。企業の統治および管理の対象範囲は経営層だけに限定されず、企業を支えている社員も例外ではないのです。また、管理の観点からは社員の労働環境および労働時間も管理対象となっているため、それらは労働環境改善に繋がります。

企業価値向上

外部的なメリットに該当するのが、企業価値向上の改善です。企業が対外的に、コーポレートガバナンスによる徹底した管理およびガバナンスの適正化が評価されることで、企業の信頼性は向上して社会的地位が確保されるのです。また、企業の信頼性および社会的地位が確保されることで株主およびサービスの提供を受けているユーザーは信頼が置ける企業であると認識します。
このように、正のスパイラルが発生することで企業価値は向上し、将来的にさらに発展する展望が持てると言えるでしょう。

まとめ

ここまで、企業におけるコーポレートガバナンスの重要性について解説しました。企業がコーポレートガバナンスを適切に採用することで企業価値は向上して社会的にも認められることに繋がります。また、企業で働いている社員の労働環境も改善されることから、ライフワークバランスの確保も期待できるため、社員にとっても仕事に対する充実感が増すと言えるのではないでしょうか。

本記事が、コーポーレートガバナンスを行っている企業にとって一助となれば幸いです。