【レグテックソリューションの今 #2】KYCコンサルティングのコア・コンピタンス「Solomon」とは?(前編)

日本社会における反社チェック環境は手作業が主流?

リスクチェックを自動化する必要性と現状

 企業を取り巻くコンプライアンスリスクが多様化・複雑化しています。それを未然に防ぎ、管理するための対策が必要不可欠です。しかし、そのリスクチェックのために、企業には大きな人的労力がかかっているのが現状です。技術革新が進み、インターネットが社会インフラとして普及した現在、企業にはリスクチェックのスピードと正確性が求められています。

 本コラムでは、KYC(本人確認)に必要な反社会的勢力(反社)・コンプライアンスチェックにについて前編・後編で解説します。前編では、なぜリスクチェックが必要なのかに触れつつ、次に日本の企業社会におけるリスクチェックの現状を概観します。その上で後編では、KYCにおける最先端のソリューションとして、当社が提供する、AI(人工知能)によるチェックツール「RiskAnalyze (リスクアナライズ)」と、リスク情報提供データベース「Solomon (ソロモン)」とは何かを事例とともに解説します。

1.リスクチェックの必要性

営業の新規取引

 企業の「反社(コンプライアンス)チェック」に関する実態調査(2022年:株式会社ロードマップ)によると、上場を目指す企業の反社チェックを調査するタイミングは、新規取引前が70%以上と発表されています。しかし、「コンプライアンスチェック・反社チェック状況調査(2020年:Sansan株式会社)」によると、営業担当者の40%以上が取引不可となった経験がある、と発表されています。

 私たちの推測では、企業は、理想としてはもっと早い段階でリスクチェックを実施したいところ、従来型の人の手で調査するやり方しかなかったため、最低限のリスクチェックしかできていないと思われます。

 このような営業ロスを軽減するためには、より早い段階でのリスクチェックが望まれています。

人材採用

 厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年4月分)」によると、平均有効求人倍率は、1.36とますます増加しています。企業は、候補者を選定する際、より一層慎重にならなければいけない状況になっています。近年、人材採用時には、日本でも浸透してきているリファレンスチェックがあります。

 それ以上に大事なことは、その人が、コンプライアンスに抵触する人じゃないかというリスクチェックです。リファレンスチェックで高評価でも、リスクチェックでコンプライアンスリスクがないか確認することが重要です。しかし、候補者の応募があったタイミングで、一人一人をリスクチェックする作業は、営業取引先のリスクチェックより、作業数としては多くなるでしょう。その効率化と正確性というコンプライアンスのDX (デジタルトランスフォーメーション) 化が求められています。

2.リスクチェックの現状

3段階のKYCソリューション

 私たちは、KYCのリスクチェックには、3段階あると考えています。

 第1段階は、「KYC1.0」と位置付け、企業内の管理部門が手作業で、Googleなどの検索エンジンや日経テレコンなどのニュース記事検索メディアから情報を収集して、リスクや反社チェックを実施しています。

 第2段階は、「KYC2.0」です。外部の専門会社にアウトソーシングするか、専門会社の提供するウェブサービスを利用して実施しています。私たちは、コンプライアンスチェックツール「RiskAnalyze」を提供しています。

 第3段階の「KYC3.0」は、企業が通常の業務で利用しているウェブサービスやシステムに、KYC機能を実装して、自動的にリスクチェックを実施する仕組みの利用です。私たちは、リスク情報提供データーベース「Solomon」を提供しています。

 多くの企業が、リスクチェックにおける効率化、正確性を求めているでしょう。現段階では、第一段階「KYC1.0」に当たる、企業内にて手作業で行っているケースが多いと思われます。

 次回の後編では、KYCにおける最先端のソリューションとして、当社が提供する、AI(人工知能)によるチェックツール「RiskAnalyze (リスクアナライズ)」の機能と特徴、リスク情報提供データベース「Solomon (ソロモン)」について、事例とともに解説します。